立場もキャリアもキャラクターも違うからこそ話す価値がある ガツガツ系ベテラン社長&もくもく系新入り職人の対極トーク

2022.06.30

ヘルパー勤務を経てデイサービス事業の代表取締役をつとめる株式会社シクロのベテラン・吉田さんと、醸造を学んだのちアニメ制作会社の勤務を経てビール醸造の部門に飛び込んできた若手・伊藤さん。シ・クロストーク2回目は、キャリア・専門性・部署・キャラクター・出身地・言語・性別・年齢……。いろんな要素が真逆なふたりによる対談です。

PROFILE

吉田 貴美子さん

有限会社ほたるケアサービス
代表取締役
大阪府大阪市出身。2014年入社。株式会社シクロでのヘルパー勤務を経て、兄弟会社である「有限会社ほたるケアサービス」代表取締役に就任。デイサービス事業をふくめ、取締役として株式会社シクロの全体を俯瞰で見守る「頼れるシクロのおばちゃん」的存在。

伊藤 将広さん

Derailleur Brew Works
ビール醸造家
神奈川県横浜市出身。2019年入社。東京農業大学で醸造を学び、アニメの制作会社の勤務を経てシクロに入社。醸造家として「Derailleur Brew Works」のビール造りに携わる。勤務3年を経て、関西弁が少し理解できてきた。

いまの仕事にお互いが就くまで

伊藤さん もちろん吉田さんと面識はあるんですけど、一緒に仕事しているわけではないですし、緊張してます……!

吉田さん わはは!とりあえず聞きたいなと思ったのは、私のこと何者やと思ってる!?なんか、偉そうな人って思ってたりするかな?

伊藤さん いや、偉そうな人とかは思わないです! 僕がルールをきちんと理解していなかったのが原因なんですけど、入社して間もない頃、本社の3階にある吉田さんの社長室に用事があった際、アポイントを取らずに入室してしまったことがあって。

吉田さん ああ、はいはい!

伊藤さん あらかじめのアポイントが必須だったっていうのを知らなくて。後で、総務の方にそれを注意されたんですよね。入社したてっていうのもあって、怖い人だったらどうしよう……と思ったことはあります。

吉田さん そっかそっか。まあ、会社によってルールやエチケットも違うもんね。また私は別事業の代表もやってるから、余計に気は使うよね!

伊藤さん 気になっていたんですが、吉田さんって、株式会社シクロの方ではないんですよね。デイサービスの「ほたるケアサービス」の代表取締役で……。

吉田さん そうそう。「ほたるケアサービス」はもともと山﨑の知り合いの方が運営されてた会社なんですけど、会社を閉めはるっていうので事業継承したんです。事業継承するにあたって、代表として任されたのが私やったんですね。最初は名前だけの社長やったんやけど、運営するうちにそうもいかなくなって……。そうそう、もともとは私も株式会社シクロのほうでヘルパーやってたんですよ。

伊藤さん えっ、そうなんですか……! 山﨑との関係も長いんですか?

吉田さん うーん、長いと言っても、それでも8年目くらいなんですよ。株式会社シクロ自体がいま14期目やもんね。伊藤くんはいま何年目?

伊藤さん 3年目ですね。まだまだ全然ひよっ子です。とはいえ、ビール事業部自体ができてまだ歴史が浅いので、3年目の僕ですら古株なんですけど。

吉田さん 伊藤くんはどういう経緯でシクロに入ってきたんかな。

伊藤さん もともと東京農大の醸造科で醸造を学んでたんですけど、卒業後は実家の酒蔵や味噌蔵を継いだり、酒造メーカーとか食品メーカーに就職するんですよ。でも、みんなと同じ業界にいくのが何だか嫌で……。で、いちばん向いてない業界に行こうと思ってアニメの制作会社に就職したんです。ただ、やっぱり食べたり飲んだりすることが好きで、ビールづくりにも興味があったので、醸造の道に改めて進みたいなと思って。

吉田さん それで転職してきたんやね。

伊藤さん ビールがつくれるんだったら正直どこでもいい!ってくらいの気持ちで転職してきました(笑)。ただ、クラフトビールが盛んな土地で学びながらつくりたいっていうのもあって、大阪は候補地にはあったんです。僕、実家が神奈川なんですけど、神奈川・東京エリアだと、土地勘があるぶん、きっと遊んじゃったり、他のことに目が行きそうだなって思ったんです。転職してビールづくりをするんだったら、土地勘もなく友達もいない土地で退路を断とう!って気持ちで、こっちに越してきました。

吉田さん そうそう、思い出した!「ビールさえつくれれば給料いらん!」みたいな感じやったらしいやん。それだけビールつくりたかったんやね。

伊藤さん いまはビールもつくりたいし、給料も……欲しいです(笑)。あと、入社した当初は「ビールさえつくれれば」って感じだったんですが、山﨑に影響されて、ビールのクオリティはもちろん、その上でビールを使った面白いイベントをやろうとか、ビールをひとつのコンテンツとして使うことに興味が出てきてもいます。

吉田さん いろいろ吸収して意識も変わってきてるんやね。誰かさんが走るのめっちゃ速いから、そのスピードについていかんとあかんもんね。

口出しはしないが「山﨑攻略おばちゃん」として暗躍

伊藤さん 吉田さんは、株式会社シクロがビール醸造を始めるって聞いた時、率直にどう思いましたか?

吉田さん うーん。あんまりその話は私とはしなかったですね。「なんかしてはるな」と少し離れたところから見ながら把握はしてたんですけど。山﨑のやりたいことがあるなら彼は勝手にやるだろうし、私は私の持ち場があったので、そこを守るだけというか。どう思ったかというと、とくに何も思わへんかったんちゃうかなあ。どこでなにをしているのか、みたいなのも話さないですね。

伊藤さん 常に連絡とっているイメージでした。

吉田さん そうでもないですよ。介護の話以外は全然話さないです。

伊藤さん いまでもビール醸造の部門には関わりがない感じですか?

吉田さん 飲食部門の、うみねこのメンバーになってくると若干関わりはありますね。山﨑の攻略法をみんな聞いてくるんです(笑)。

伊藤さん 山﨑の攻略法……?

吉田さん 山﨑もこだわりがあるので、クリエイティブなことも妥協しないし、売り上げの方もちゃんと見ている。そこは仕事なので当たり前やとは思うんですけど、けっこう重圧はあるんやと思うんですよ。それで、みんなベソかきながら私のところに相談しにきます(笑)。

伊藤さん (笑)。

吉田さん みんな若いし、私みたいなオバちゃんキャラもいないじゃないですか。それでですね。うふふ、暗躍しております(笑)

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