立場もキャリアもキャラクターも違うからこそ話す価値がある ガツガツ系ベテラン社長&もくもく系新入り職人の対極トーク

2022.06.30

それぞれの立場から見る「山﨑ってどんな人か」

伊藤さん 吉田さんって山﨑のことをどんな人だと分析してます?

吉田さん 厳しい人ではあると思います。あと、おそらく人付き合いはそんなに得意じゃないのかなあと。すごく喋るし外交的にしているけど、本来はひとりで読書したりするのがお好きな人なんかなと思いますね。ただ、根がおとなしいといってもネガティブではなくて、静かにチャレンジ精神を燃やすタイプだとは思います。なんでここまでいろんな事業を広げながら、経営者として西成でやっていけているかといえば、それはきっと挑戦することに貪欲だから。

伊藤さん わ〜、わかります。めっちゃ見てますね……!

吉田さん あと、挑戦に貪欲だけど案外慎重派だとも思います。いろんな取り組みも、じつは裏でめっちゃ考えてやってるはず。で、さっと引くときは引く。一度いったことは動かさない!みたいなことはないです。

伊藤さん そうそう。それはありますね。去年までやってたことをパスッと「今年はやりません!」って切ることもけっこうあります。やっていることに旨味があるかどうかはすごく考えていると思います。だから損切りが速いというか。

吉田さん ただ、一度関係が切れた相手でも、また面白いことが起こりそうなら再度手を組むというような柔軟さはあると思います。

伊藤さん うんうん。

吉田さ ビジネス的な観点でいえば、シビアなところはあるんですが、ただ、利用者さん相手にはそうでもないですね。とくに福祉関係、しかも西成という土地でそれを運営していくっていうのは……。関係性もコアだし、利用者さんのバックボーンも複雑なことが多いので、他のエリアよりも頼られ方が違うんですよね。身内的なところで通すしかないんですが、それが利益に繋がってきたりもするので。

伊藤さん そうですね。あと、全然話は変わりますけど、山﨑は……マッチングアプリを頑張っているなあって思います。

吉田さ あっはっは!(笑)

伊藤さん 僕も以前やってたんですけど。しかも山﨑と同じアプリを。あ、これ言っていいんかな……。

吉田さ 言っていいんじゃない?

伊藤さん こないだ、山﨑とマッチングした人が僕のことを知っていたらしくて。山﨑の人づきあいの広さと、世の中の狭さを思い知りました(笑)。

ビール醸造の部門も介護や福祉のことを知るべきだし、逆も然り

吉田さ 伊藤くんは山﨑のビジネスライクなところはどう思ってるの?

伊藤さん うーん、ビジネスライクというか、損得を考えて打算的にシクロに入社したってところは僕にもあって。一般的なブリュワリーは、ビール醸造だけをやっているところが多いので、それがダメになったらビールつくれなくなっちゃうじゃないですか。たとえばこのコロナ禍で飲食店や宿の多くが閉まっちゃったみたいに。

吉田さ うんうん。

伊藤さん 僕はとにかくビールを作り続けたくて、そのために、ビール以外の事業をメインにしているシクロを選んだんですよね。

吉田さ なるほどね〜。じゃああれやね、そうおっしゃるのであれば、伊藤くんは私たちをすごく大事にしなあかんね(笑)!

伊藤さん あっ、すみません! 決して僕らのビール造りのために介護部門が割りを食ってくれっていうことではないんですが……。あの……やっぱり介護部門の方々って「私たちに感謝してや」って思ってます?

吉田さ うーん、まあどうしても経営のコアメンバーとして携わると、どこの部門でどれだけの売り上げが立っているかって見えてきちゃうので。それでいうと、やっぱりビール醸造と飲食部門は利益が足りていないなと思うことはあります。なので、決算の時なんかは嫌味ったらしく言うこともありますよ。これはヘルパーさんが稼いだお金で入れた設備なのでは?とか。新しい醸造タンクに大きいロゴが彫ってあるけど、これは必要?とか……。

伊藤さん うう〜!すみません……!

吉田さ いやいや、これは私が小言を言う役割ってだけやからね!なにか事業に足りてないところがあるなら、誰かが言わないとあかんだけのことやから。私はシクロのなかではまあまあ年齢も上やし「ほたるケアサービス」の代表という目線で、全体の経営のことも見とく必要があるしね。どうしても「Derailleur Brew Works」と「スタンドうみねこ」は事業自体がまだ若いから。あえて言いにくいことは言うけど、だからといって事業に批判的なことはないですよ! 何かあればフォローもするし、そうそう、ストックを保管しておく冷蔵庫がいま足りてないんでしょ。

伊藤さん そうなんです。いま場所を探していて。

吉田さ その冷蔵倉庫を建てるための土地も一緒に探してるしね。フォローを頼まれたことは、銀行への交渉も含めて経営陣としてしっかりサポートしてます。売り上げのことではお小言も言わせてもらうけど、取り組み全体に関してはすごく感謝しているんですよ。

伊藤さん そうなんですか!?

吉田さ やっぱり、他の福祉系企業に比べて株式会社シクロの名前が世の中に出るようになったのは、ビールを醸造して、マスコミに取り上げられだしてからなんよね。介護や福祉の部門だけだったら、シクロはここまで大きくなっていないだろうし、知名度も上がらなかったし、入ってこない人材も多かったと思います。

伊藤さん 売り上げの面ではまだまだですが、社の宣伝になっていたり、社員の多様性を生むきっかけになっているとしたら嬉しいです。

吉田さ そうやね。今後はもっと会社全体の人数も増えてくるだろうから、伊藤くんたちもビール醸造以外の状況を把握できるようになればいいよね。シクロは介護・福祉とビールづくり・飲食を同時にやっているので、お互いに知識が足りないのはこの先通用しなくなるから。

伊藤さん 介護の方はまだ接点がないんですが、工場が大きくなったタイミングで就労支援の部門と繋がるようになりました。工場が大きくなったので、麦芽の絞りかすが産廃として増えてしまったんですが、それを再利用するためのとりくみを就労支援のほうではじめていただいて。麦芽かすを送るタイミングなど、他部署との連携がスタートしたので、いろんな部署への理解を深めていきたいですね。

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