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ディレイラブリューワークス

あと10年たったら(後編)

これまでのあらまし
https://cyclo-inc.jp/magazine/column/3105/

あいにく宇宙を持ち合わせておらず4次元をコントロールできない僕でありましたので。
2.5次元が至高ですね。やはり。

とうらぶは僕わからんです。

お盆が過ぎたあとに、バケモン、観てきました。

ちがうちがうそっちじゃない

香川照之は、2時間ちょいのこの映画のナレーションを、2時間ちょいで収録終えたそうで。
そっちはそっちでバケモンやん。バケモンゲットだぜな映画です。

ほんとは、そこからバケモンの鑑賞記とか感想とか考察を書いていくべきなのでしょう。
なんのために前後編と分けたのか。
ところがこの1ヶ月強の間に、IBCで受賞があったりとか、
うらなんばと箕面の店舗が前に進んだりとか、
缶ビールが着々とリリースしたりであるとか、

敬愛するあるお方から取材のオファーを頂いたりであるとか
(ああ、かつて早朝に聞いていたあのFMのDJの声が間近で!!)
あたまがくらくらくら。

書きたいことが山程積もってしまって、バケモンの印象、ほとんど残ってなかったりしてます。
いや、いい映画やし、
鑑賞後、鴨川でランニングするときには、
必ず鶴瓶師匠のPodcastを聞きながら走る習慣になってしまいました。

Podcastは、Replicant.fm叶姉妹のと、アリダランニンググラブと、変態淑女のお茶会をローテーションで聞いて、ランのお供にしております。
アリーダちゃん本当にかわいい。俺の嫁候補。そして2.5次元は至高。

こんなイラストレーターさんとお近づきになりたい。そして2次元は2.5次元となる。

フィッシュマンズの歌に、IN THE FLIGHTというのがあって。
ふわっとしたメロディと浮遊感のある音色とは裏腹に、
何者にもなれない諦観を覚えた、いつまえでも若いって言えないなあというカップルの歌。
そう解釈してる歌で。

あと10年たったら、なんでもできそうな気がするって。

ドアの外で思った『僕』は、それはウソと気付き、
やっぱり何もできないよ、と飛んで行く。
その後の佐藤氏の顛末もあり、なんとも切ない、
示唆されたような、切ない切ない歌で。
僕はほろ酔いになったらそれを歌って帰る、
それぐらいには素敵なメロディライン。

18歳のときに、10年たったらなんでもできそうな気がしてた。
だからその日のうちに、翌日に、なにか動かなきゃいけない。
こんなことの積み重ねが10年後の僕を変えるし、積み重ねをしないまま、
変わることはないし。そう信じて、西宮に歩いていった。

どんなふうに、誰と出会って、どう影響を受けて、どう自分が変わって、
何ができるようになるのか、何もわからなかった。
自由と可能性は、裏返せば見通しの悪い闇と不安でもあったのだけど。
高揚感だけがその不安を隠してくれていたのだと、今はわかる。

20代の時も、会社を起こした30代の時も、
10年たったら、何でもできるような気がしてた。
当たり前のように、10年後は、自分の影響力が増えて、
もっと給料を稼いでいて、いい車にに乗って(20代の時はバイクを乗っていたのですが)
もっと会社が大きくなって、

事業をいっぱい展開して。

スタッフが増えて。

そう信じていた。
今日よりも明日のほうがきっとよくなるという無垢な信仰。
何もないからこそ、少しばかりの成長や変化は、自由と可能性をただただ感じさせてくれた。

でも今はどうなんだろうか。
今月の15日にはなんとまあ45歳を迎える。
折り返し地点をとうに過ぎてしまった。
10年たったら、10年後のほうがなんでもできているよ、という無邪気な予想はできなくなっている。
10年なんか待ってられない。
いつ自分がどうなるかわからんねんから、もっとスピード上げて、
やりたいことを思えてるうちに、鮮度の高いうちに、やり遂げてしまわないといけない。
今はそう思うようになってしまった。

未来が必ずしも成長を予想できないフレーズになってしまったから、
1日も1秒も無駄にできなくなってしまったのだ。
スピード感という意味では、悪くはないけど。

バケモンという映画では、師匠松鶴の十八番だった『らくだ』という演目を、
鶴瓶は52歳で口演することを決める。決めたら即演る。
その年のうちに成功させる。10年以上続ける。
でも他の仕事も減らさない。テレビも、ラジオも、舞台も、もちろん落語も。10年後なんて考えない。今、できることを、もう、この歳ならやっておかないといけないことを。すぐやる。明日には持ち越さない。

酒だってそうで。今日飲める酒も明日の酒も、今日のうちに飲んでしまったほうがいい。中島らももそういっていたんだし。

あと10年たったら、なんでもできそうな気がするって
でもやっぱりそんなのウソさ

10年も必要ない。助走はいらない。やりたいと思ったときに、やらないといけないと思ったときに、跳びたいと思ったときに。すぐ、跳べば、いいだけだったんだ。

僕は京都の烏丸にある、こじんまりとした映画館で、教えてもらったのだ。
27年前と同じ人に。
27年前と同じ熱気で。