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ディレイラブリューワークス

トップをねらえ

ヤマザキアキノリ

STAY HOMEな春もなんだかんだで2回めを迎えることになった。
そんなことは想像もしていなかったが、未来なんてそんなもんだ。
そしてブーブー文句をいいながらも、我々民衆は、不自由にアジャストしてしまい、ニューノーマルというカタカナで、
新たな拘束と秩序に馴染んでしまうのだ。恐ろしくもしたたかな集団である。

 

ジョージ・オーウェルの、1984を久しぶりに読んだ。
そこにはホフピンスキがAREA2470を統治しているように、ビッグ・ブラザーが優しい眼差しを光らせ続け、統治を続けている国がある。
健全なガバナンスはおそらく自治であるのだが、自らを律することはあまりにも難しく、他者に指示されレールを敷かれ、それを歩むということがどれだけ楽なことか。


なんかNON REPLICANT HOPと同様の世界観が展開されている。もしかしてオーウェルの元ネタはニシナリだったのか!?

大多数の宅浪生が成績を落とし続けてきたようなものだ。僕も例外ではない。あーあ。

晩年を女性問題で残念な形にはしているが、岡田斗司夫が脚本を書いている名作で、トップをねらえというOVAがある。
炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマン!!!!!
がキャッチフレーズである。
僕はPC−8801だったかPC−9801だったかのゲームにココロと下半身をわくわくさせていた記憶しかない。

当時のオタクが好きそうなものをすべてねじ込んだコンセプト。
下世話に全ブリするのは嫌いじゃない。

それは濁らせてたらいいんでしょうってする某ビール界でどう振る舞うべきなのかを示唆しているかのようで。
濁ってたら売れる、その世界だけで小さく商売をするのは
あまりにも面白くない。
とことん下世話になるか、自分のやりたいことを、力技で売ってみせるかだ。

それが唯一解であると信じる。ニッチな業界でいるなら、ニッチな顧客の方を向きながら、異業種の顧客を取り込みに行くしか
未来はないんじゃないか。
きっと当時のトップをねらえの制作陣、ガイナックスはそう考えていて、すべてねじ込んだコンセプトで既存のファンを取り込みながら、NHKのアニメを請負い、テレビ東京の夕方の枠のアニメを請負い、やがてアニメに見向きもしなかった層を取り込むことに成功する。
こないだ、当の庵野秀明から、さようならと別れを告げられた、エヴァンゲリオンなんかもその一つだ。
その後の社会現象化は周知の通り。
ぽかぽかする。

5月から、Derailleur Brew Worksという弊社のビール醸造部門に、2人のブルワーが入社する。
今は、伊藤と中村の2名体制だが、
そこに関西のビアパブのスタッフとして腕を鳴らし続けた柳。
客室乗務員から異例の転身を果たした福井が加わり、
まもなくDerailleur Brew Works内は、ブルワー春秋戦国時代に突入し、
彼らはやがて呼ばれることになる。

関西、もといそれすら飛び越えてあのAREA2470に輝く。
「ニシナリブルワー四天王」と。

だったらいいなあ。
でも、それだけのポテンシャルを持つ2人。天才肌で日本で最高峰の醸造学を学び、実践の場をニシナリに求めた伊藤。
ブリュードッグでの工場勤務経験を活かし、海外留学による醸造学を7年に及び学び、活躍を続けた中村もまたニシナリを選んだ。
彼らに続くポテンシャルが柳と福井には果たしてあるのか。

今年に入ってから、Derailleur Brew Worksは新作ビールを作る際に、すべてのスタッフに門戸を開いた、レシピコンテストを実施している。
柳はその一回目でいきなり最優秀賞を勝ち取り、チェリーダブルドライホップセゾンという変態ビールを世に出す。
福井は知識と経験のなさで遅れを取っていたが、持ち前のガッツと努力、愛嬌で巻き返し、先日のコラボレーション案件の社内コンテストで堂々の2位を獲得。
その結果に目をつけた、大阪肥後橋の名門フレンチが、オリジナルビールとして採用したいとオファーが舞い込んできた。

もう、大丈夫だと思う。
彼らは誰かが敷いたレールの上を歩くことなく、辛いかもしれないが、自分達でのブルワリーの自治を図ることができる。
きっと。
そして、トップをねらえ。
関西のみならず、日本の、世界の。

かつてノリコは、「お前とアマノは一人一人では単なる火だが、ふたり合わされば炎となる。炎となったガンバスターは、無敵だ!」
ふたり合わされば炎なら、4人合わせれば炎柱。クラフトビール界の無限列車から抜け出す強さを、魅せてほしい。

このどうしようもないほどの晴れた日に。ただ思うことをしたためた、2回めの、春。
「奇跡は起きます! 起こしてみせます!!」その言葉を、まだ僕は、信じていたい。